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肛門周囲膿瘍・痔瘻(痔ろう)

痔瘻・肛門周囲膿瘍|高田馬場駅前メディカルクリニック|新宿区の消化器、内視鏡、内科・外科・肛門科

痔ろうの原因

痔ろう

痔ろうの主な原因は、下痢などによって肛門の組織に細菌が入り込むこととされています。歯状線には、「肛門陰窩(こうもんいんか)」と呼ばれる上向きのポケットがあり、粘液を出す「肛門腺」と呼ばれる腺があります。小さなくぼみなので、通常はここに便が入り込むことはありませんが、下痢をしていると、便が入りやすくなり、肛門腺に大腸菌などの細菌が入り込むことがあります。この肛門腺に大腸菌が入った際に、付近に傷があったり、体の抵抗力が弱っていたりしていると、感染を起こして化膿し、肛門周囲膿瘍になります。さらに肛門周囲膿瘍が進行し、肛門の内外をつなぐトンネルができると、痔ろうとなります。

肛門周囲膿瘍・痔ろうの症状

肛門周囲膿瘍
お尻の腫れが徐々に大きくなっていき、激しい痛みを伴います。また、発熱が続く場合もあります。
単純痔ろう
痔ろうの約7~8割がこのタイプで、直腸粘膜から発生する「ろう管(トンネル)」が、皮膚へと開孔します。
複雑痔ろう
皮膚への出口が複数あるもの、外肛門括約筋の外側などに「ろう管(トンネル)」がこえて延びるもの、肛門の後方を複雑に走行するものなどが含まれます。

検査・診断

01視診、触診、肛門指診
痔ろうの診断では、まず視診(目で見て)、触診(触れて)、肛門指診(肛門に指を入れて診察する)を行います。なかでも指診は得られる情報が多く大切な検査です。肛門周囲膿瘍の場合、肛門指診は痛みを伴う可能性があります。
02肛門鏡検査
肛門鏡という機器を肛門に入れて、より詳細に観察を行います。
03CT、MRI
最近ではCT、MRIなどの画像診断による補助診断が有効だとされてきています。画像の解析能力の向上により、細かな変化もみることができ痔ろうの正確な位置やタイプを知ることができます。

手術の流れ

一回の肛門周囲膿瘍で切開排膿をして膿を出すだけで痔ろうに進展するというケースは少なく、排膿だけで治癒し、繰り返さないのであれば、それ以上の治療(手術治療)は必要ありません。 しかし、痔ろう・肛門周囲膿瘍を繰り返す場合には、外科的治療が検討されます(活動性のある痔ろうを長年にわたって放置しておくことで、まれではありますが、痔ろうがんが発生したり、痔ろうが多発したり、肛門が狭窄することがあります)。 痔ろうには、その位置やタイプにより、さまざまなバリエーションがあります。そのため、手術の術式も多種類があり、ケースごとに術式が選択されます。以下に代表的ないくつかの手術の方法を示します。

肛門周囲膿瘍の場合

切開排膿術
局所麻酔で腫れている部分を切開し、たまっている膿を排出します。日帰り手術が可能ですが、深部膿瘍(おしりの深い部分に膿瘍ができた場合)は腰椎麻酔が必要な場合もあります。皮膚の毛穴から細菌感染して形成された肛門周囲膿瘍は切開のみで治癒しますが、痔ろうの場合、切開して一度治癒しても「ろう管」があるため再発することがあります。その場合は「ろう管」の処置が必要になります。

痔ろうの場合

01切開開放術
「ろう管」を切開し、縫合せずに瘻管を開放させるので、lay open法ともいいます。括約筋を切除しても肛門機能に問題が起こらない肛門後方部の単純痔ろうに向いた手法で、再発はほとんどみられません。日帰り手術が可能です。
02括約筋温存手術
括約筋を切断せずに、なるべく他の組織を傷つけないように「ろう管」のみを切除する方法で、くりぬき法(coring out法)ともいわれていますが、手術の難易度が高くなる場合もあり、再発が問題になります。充分な肛門の弛緩が必要なので、腰椎麻酔による入院治療が必要です。
03シートン法
肛門機能の温存効果が高い手法です。瘻管の原発口である肛門陰窩からゴムや紐状の医療器具を入れて皮膚に開いた穴まで通し、縛ることで徐々に切開と治癒を進ませてダメージを最小限に抑えます。ただし、平均して数ヶ月程度の治療期間が必要になり、その間何度か通院して締め直す必要があります。瘻管の状態によって治療期間はかなり異なってきます。また、締め直す際には違和感や痛みを生じる可能性があります。