長引く下痢には要注意!
- 2024年9月22日
- 医師コラム
当院のような消化器疾患を専門としたクリニックには下痢でお困りの患者様が来院されます。
目次
発生頻度の多い下痢疾患
感染性腸炎
多くの方が吐き気や腹痛を伴うもので、感染性腸炎(いわゆる胃腸かぜ)です。
感染性腸炎には大きく分けて、ウイルス性と細菌性があり、細菌性では血便を伴うことがあります。
ただし、感染性腸炎のほとんどは数日程度で改善するものが多いです。
過敏性腸症候群
頻度として次に多いものが過敏性腸症候群と呼ばれるものです。
前回のブログで安藤先生が書かれていた病気です。
当院に来院される患者様で下痢でお困りの方の多くが、感染性腸炎と過敏性腸症候群です。
原因がわからないとなかなか判断できない疾患
ここからは発症頻度は下がりますが、原因が分からないとなかなか診断できないものを挙げていきます。
①潰瘍性大腸炎、クローン病
正常な免疫システムは、体に異物(例えばコロナウイルスやインフルエンザウイルス)が侵入してきたら、異物だけを攻撃します。
小腸や大腸は自分のものであって、異物ではありません。
しかしどういうわけか免疫システムが暴走してしまい、自分の腸を異物と判断して自分で自分の腸を攻撃してしまうことがあります。
それが潰瘍性大腸炎とクローン病です。
どちらの病気も診断には大腸カメラが必要です。
②薬剤性腸炎
薬剤性腸炎とは特定の薬の影響で下痢を起こしてしまう病気です。
ピロリ菌の除菌薬であるボノサップでも下痢はしてしまいますが、それはピロリ菌を除菌するための抗菌薬により一時的に正常な腸内細菌のバランスが崩れてしまうものであって、ここでいう薬剤性腸炎はそれとは異なります。
薬剤性腸炎として有名なものが、胃薬であるPPIと血圧の薬であるオルメサルタンです。
PPIは膠原線維性大腸炎(collagenous colitis)を、オルメサルタンはオルメサルタン関連腸炎を引き起こします。
いずれも診断には大腸カメラが必要です。
③甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
甲状腺ホルモンは体を元気にするホルモンで、体の代謝が活発になります。
甲状腺ホルモンがたくさん分泌される甲状腺機能亢進症(バセドウ病)では下痢になってしまいます。
逆に甲状腺ホルモンが不足する甲状腺機能低下症(橋本病)では便秘になってしまいます。
いずれも診断には血液検査が有用です。
ここから発症頻度はさらにグンと下がります。
④好酸球性腸炎
⑤胆汁性下痢
⑥慢性膵炎
⑦膵臓の神経内分泌腫瘍(NET)
⑧アミロイドーシス
消化酵素である胆汁は、実は腸へ分泌された後に再吸収されています。
胆汁は便を柔らかくして、しかも大腸の動きを良くしてくれます。
これは胆汁性下痢という状態です。
便秘薬にグーフィス®︎というお薬がありますが、グーフィス®︎はこの胆汁の再吸収を阻害することで胆汁を腸管内にとどめ、便秘を解消してくれます。
下痢は奥が深いです。
下痢の患者様を担当したときはいつもこんなことを考えながら診療にあたっています。
たかが下痢、されど下痢です。
もしかしたら胃腸かぜや過敏性腸症候群ではなく、怖い病気が背景に隠れているかもしれません。
長引く下痢がある場合は当院のような大腸カメラが実施できる施設への受診をお勧めします。
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高田馬場駅前メディカルクリニック
院長 廣澤 知一郎
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