下痢が長引くのはバセドウ病や橋本病?発症頻度の高い・低い下痢疾患と診断方法

- 2024年9月22日
- 小林医師コラム
長引く下痢に悩まされていても、お腹の調子が悪いだけ・たかが下痢と軽視して病院に行かない人は少なくありません。
下痢疾患は数日で改善する腸炎などが多いですが、怖い病気が背景に隠れている可能性も。大腸カメラを受診すれば原因を特定して治療可能です。
今回は、発症頻度別の様々な下痢疾患の特徴と症状、診断方法を詳しく解説します。
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下痢が長引く?発症頻度の高い疾患

長引く下痢は感染性腸炎
感染性腸炎(急性腸炎)とはいわゆる胃腸かぜで、下痢や腹痛、吐き気などの症状を伴う疾患です。
主な原因はばい菌の感染とされ、大きく分けてウイルス性と細菌性があります。
- 代表的なウイルス・細菌の例
ノロウイルス
サルモネラ菌
カンピロバクター
黄色ブドウ球菌
O-157
- 注意すべき食材
牡蠣などの2枚貝
卵
肉(鶏・豚・牛・レバー)
- 感染の原因
加熱不十分・未加熱での摂取
生食
高温多湿・夏場の菌の活性化
不衛生な環境での調理
吐物や下痢便から拡大
細菌性では血便を伴う人もいますが、数日程度で改善する感染性腸炎がほとんどなので、過剰に心配する必要はありません。
長引く下痢は過敏性腸症候群
過敏性腸症候群とは、消化器にポリープや炎症などが見られないにも関わらず、下痢や腹痛、便秘などの症状を慢性的に伴う疾患です。
主な原因は、心理的緊張や感情的要因、自律神経の異常とされています。
- 発症の原因
身体的・精神的ストレス
過労
睡眠不足
不規則な食事
不安・抑うつ
極度の緊張感(満員電車/面接/試験など)
当院に来院される下痢でお困りの患者様の多くが感染性腸炎と過敏性腸症候群で、過敏性腸症候群は感染性腸炎に次いで発症頻度が高いです。
【予約】https://tmclinic.reserve.ne.jp/
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下痢が長引く?発症頻度の低い疾患

長引く下痢は炎症性腸疾患
正常な身体の免疫システムは、体内に侵入してきたウイルスや細菌などの異物を攻撃して、体外に追い出す働きをします。
異物が外に出るタイミングで発生する腫れや痛み、発熱の反応を「炎症」と呼び、腸に炎症を起こす全ての病気が「炎症性腸疾患」です。
中でも「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」は根治に至る治療のない難病とされ、主な原因は現在でも特定されていません。
- 炎症性腸疾患の症状
下痢、腹痛、血便
発熱や倦怠感
口の粘膜の潰瘍
目の炎症
手足の関節の痛み
皮膚の炎症
痔瘻
炎症性腸疾患は様々な症状を引き起こすリスクがあるため、下痢が長引くなどの自覚症状があるなら放置しておくのは得策ではないでしょう。
長引く下痢は薬剤性腸炎
薬剤性腸炎とは、特定の薬の影響で下痢を起こしてしまう病気です。
胃酸の分泌を強力に抑制する胃薬「プロトンポンプ阻害薬(PPI)」や、高血圧症の治療に用いられる血圧を下げる薬「オルメサルタン」で主に発症。
ピロリ菌の除菌薬「ボノサップ」でも下痢はしますが、一時的に正常な腸内細菌のバランスが崩れてしまう状態で、薬剤性腸炎とは異なります。
長引く下痢はバセドウ病
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)とは、体を元気にする甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、代謝が活発になりすぎる病気です。
自己免疫疾患の1つで、甲状腺を刺激する異常な抗体が血中や組織の中で生産されるのが主な原因とされています。
- バセドウ病の症状
下痢・軟便
体重減少
食欲増進
動悸息切れ
多汗
手の震え
瞼の腫れ・眼球の突出
バセドウ病とは真逆で、甲状腺ホルモンが不足して新陳代謝が低下する病気が橋本病です。
甲状腺細胞が自己免疫によって破壊され、甲状腺ホルモンを正常に分泌できていない状態を指します。
- 橋本病の症状
便秘
体重増加
食欲不振
皮膚の乾燥
寒がり・低体温
脱毛
思考力・記憶力・気力低下
バセドウ病、橋本病のいずれも診断には血液検査が有用なため、少しでも思い当たる症状があればは当院へご相談ください。
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下痢が長引く?稀に発症する疾患

長引く下痢はその他の疾患も
発症頻度はグンと下がりますが、下痢が長引いていると稀にその他の疾患が疑われるケースもあります。
・好酸球性腸炎
消化管にアレルギー性の白血球の一種「好酸球」が集まって慢性的な炎症(ただれ)が発生する病気。下痢、腹痛、嘔吐、血便などの症状が1ヶ月以上続き体重減少や発熱も。
・胆汁性下痢
消化酵素の胆汁が小腸で十分に吸収されず大腸まで過剰に届いて引き起こされる下痢。朝食や脂肪分の多い食事後に悪化しやすく、慢性的に水様性の下痢が続く。
・慢性膵炎
膵臓が炎症を繰り返し、細胞が破壊されて機能が低下していく病気。主な原因は飲酒で、進行すると消化不良による下痢や食欲不振で体重減少、糖尿病の発症も。
・膵臓の神経内分泌腫瘍(NET)
膵臓の神経内分泌細胞から発生する腫瘍。慢性的な下痢や逆流性食道炎、低血糖による冷や汗や動悸、意識障害や記憶力の低下もあり得る。
・アミロイドーシス
線維状の異常なタンパク質「アミロイド」が臓器に沈着・蓄積して機能障害を起こす病気の総称。下痢・便秘の消化器から、心臓、腎臓など様々な臓器に影響が出る。
たかが下痢、されど下痢、下痢は奥が深いです。
下痢でお悩みの患者様に多い症状だからと、胃腸かぜや過敏性腸症候群とは限りません。
もしかしたら?と他の重大な疾患も疑いながら、いつも診療にあたっています。
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下痢が長引く?診断方法

長引く下痢は大腸カメラ
どのような疾患が原因で下痢が長引いているのか正確に診断するには、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)が欠かせません。
大腸カメラで炎症の状態や範囲を調べ、状況に応じて血液検査や組織を採取して顕微鏡で調べる病理検査(生検組織検査)を同時に行います。
大腸カメラでは下痢疾患以外にも、大腸がんや大腸ポリープ、痔などの肛門疾患の発見も可能です。
長引く下痢の受診判断
下痢の症状が長く続いているなら、当院のような大腸カメラが実施できる施設への受診をおすすめします。
下痢以外にも、便秘・便が細い・血便などの便通異常、腹痛・腹部膨満感などのお腹の不調、貧血や急激な体重減少なども見逃せません。
大腸がんの血縁者がいる、大腸内視鏡検査を受けた経験がない40歳以上は、大腸カメラ検査を受けるべきタイミングです。
長引く下痢はすぐ相談してリスク回避

長引く下痢に悩む多くの患者様が感染性腸炎や過敏性腸症候群ですが、発症頻度は低くても重大な疾患の可能性もあります。
当院では年間5000件の内視鏡検査実績があり、経験豊富で技術力のある内視鏡学会専門医が、高水準の検査を提供。
プライバシーに配慮したトイレ付き個室、鎮静剤で苦痛の軽減、検査後おなかが張って苦しい感覚もほとんどありません。
下痢や他の疾患を早期発見・早期治療するためにも、症状が長引く前にぜひ一度当院へ来院してくださいね。
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